笑顔の裏側に
歩side

俺は今年初めて特別選抜クラスを受け持つことになった。

今まで選抜クラスを受け持つことはあったが、それとはまた違う。

このクラスは最難関大学をめざすという意志と学力があるものしか入れない。

学校内では特に期待され、そのクラスの担任となれば、俺にも重大な責任がのしかかる。

本来なら、去年の先生が受け持つはずだが、その先生が体調不良により、休職中のため、急遽俺に決まってしまった。

でもやだとは言っていられない。

生徒たちの将来がかかっている大事な時期だ。

俺は俺なりにしっかりやろうと意気込んで始まった新学期。

俺はある一人の生徒がとても気にかかっていた。

その生徒は学年主任から、教頭から、校長からと何度も名前が上がっていた。

それが麻生優美だった。

成績優秀、容姿端麗それに加えて心優しくリーダーシップがあって運動神経も抜群で。


最難関大学といわれるT大の医学部を志望し、合格するだけの実力はあるらしい。

ここ数年、T大を受験し、合格する者も何人かいるらしいが、その中で最もレベルが高い医学部の合格者は出ていないらしい。

我が校からT大の医学部が出るかもしれないと誰もが期待をしているようだ。
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