笑顔の裏側に
立っているのが辛くてそのまま床に座り込んでしまう。

めまいはまだ完全には治まっていなくて。

頭が痛い。

汗が冷えたせいか寒気もする。

「麻生、どうした?」

急に座り込んで、頭をうずめた私に優しく声をかけてくれる。

「頭痛い?言ってくれなきゃ分からないよ?」

「めまいがして…」

これ以上心配はかけられない。

頭痛や寒気は我慢できる。

でもめまいがある状態では歩けない。

だからそれだけ。

もう少しだけあなたの優しさに甘えさせて。

「そっか…。治まるまでそのままでいいからな?」

そう言ってずっとそばにいてくれた。

そうして少しずつめまいも治まり、ゆっくりと顔をあげる。

ただ気持ち悪さがまだ残っている。

でも吐き出そうにも吐き出せない。

ただ苦しいだけ。

「大丈夫か?」

その言葉に小さく頷いた。
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