新選組〜猫みたいな君が好き〜
私は歩きながらふと、思った。
平助の肩をトントン、と叩く。
平「ん?」
『土方には?言ってあるの?』
平「言ってないぜ。」
『え?!…………門限破りは切腹だよ?どーするの!?』
平「土方さんは今、大阪に出張中だ。ただ、今巡察中の佐之さんと、新ぱっつぁんに要注意だ!」
『ならいいか…………じゃなくて!もし何かあったら』
平「大丈夫。その時は、俺がお前を守るから。」
私は平助に微笑む。
さり気なく頼もしいんだよね。平助って。
はぐれないように、私とずっと手を繋いだまんまだし。
歩いていると、段々と人混みが激しくなる。
もうすぐなんだと、胸が高鳴るのを感じた。
角を曲がると………………
わぁ…………綺麗。
様々な色の提灯から出る光は、歩く人の顔を淡く照らしていて。
光の中を歩くと、足が弾む。
人混みがすごいから、ゆっくりと歩く。
光の世界が、とても美しく感じた。
平「美夜。今日だけ甘味処が遅くまで開いてるぜ。椅子に座って団子食べない?」
平助の素敵な提案に私はうなずいた。
賑やかさの一角にある有名な甘味処。
この日だけ、夜遅くに開いている。
幻想的な世界の中、団子を食べられるなんて幸せそう。
ここの甘味処は私も結構行っている。
平助は開いている席を見つけ、私を呼ぶ。
平「おっちゃん!団子6本!」
主「あいよ〜」
暫くして、甘い砂糖醤油の葛餡がかかった団子がきた。
私は一口食べると、その甘さに表情が緩んだ。
平「美夜。」
そこには満面の笑顔の平助がいて。
平「戻ってきてくれて、ありがとう。」
突然の言葉。
私には、嬉しすぎた。
そして、私は伝えることにした。
いつまでも、皆に隠しておく訳には行かない。
『私、皆に話すよ。今までのこと。だから………聞いてくれる?』
平「あったりめーだろ!」
『ありがとう。』
全部話そう。
包み隠さず、全部。
皆を、信じているから。
見てますか?美咲菜様。
耳の事になんか負けない。
私は、諦めない。
私は、皆が大好きだから。
平「よしっ。じゃぁ帰るか!」
私達は立ち上がり、屯所に向かう。