新選組〜猫みたいな君が好き〜
〜沖田総司〜




 美夜ちゃんはもう寝ただろうか。



 平助と二人で祇園会に出掛けてたらしいけど。



 あんなに楽しそうな美夜ちゃん久し振りだ。



 鈍感なのは変わってなかった。






 僕等はずっと、美夜ちゃんの過去には触れないようにしてきた。



 彼女から話してくれるのを信じて。



 戻ってきてくれて、本当に嬉しかった。




 また、あの小さな可愛らしい花のような笑顔を見られるかと思うと、胸が弾む。




 守りたいと思った。




 だけど、不安だった。



 信じる、とか言っておきながら、心の何処かで心配してた。



 美夜ちゃんは僕等に心を開いてくれているのだろうか。




 話してくれる日が、来るのだろうか。




 今日はそれが気になって中々寝付けない。




 井戸に行って水を飲めば、迷いもすっきりするかもしれない。






 布団から起き上がり、部屋を出る。




 もう日付は変わっている。




 他の隊士を起こさぬようにと摺足で歩く。






 角を曲がると、部屋に灯る小さな灯り。




 ここは美夜ちゃんの部屋。




 こんな時間まで起きてるの?





 
 気になって中を覗こうとするけど………




美「うーーー…………」




 疲れたような声が聞こえ、灯りが消えた。




 どうやらもう寝るらしい。



 
 それならいいや。




 部屋を通り過ぎ、井戸の水を飲んで、眠りについた。




ーーーーーーーーーーーーーー





 










平「美夜遅くねぇ?」



左「どうしたんだ?」




 これから朝餉を食べるって言うのに、美夜ちゃんが起きてこない。




 昨日夜更ししたみたいだし、起きれてないのかも。




総「じゃぁ起こしてくるよ。」




 僕は立ち上がり、美夜ちゃんの部屋へ向かった。











総「美夜ちゃん?入るよー。」





 いつも、美夜ちゃんの部屋に入るとき、声なんかかけないんだけど、着替え中だったら悪いからね。




 …………………でもそれはそれで見てみたい。←







 部屋の中からは何も聞こえてこない。




 寝てる?




 いいや、寝顔見ちゃおーっと。←






 襖を開けると、陽の光が部屋に差し込む。



 眩しさに、美夜ちゃんは瞼を少しぎゅっ、とした。




 でもそれだけで。


 起きる気配は全く無い。





 昨日何してたんだろう。




 美夜ちゃんの部屋を見渡すと。



 文机の上に、何やら文字がたくさん書いてある半紙があった。




 手紙……………………?




 それに近づき、手にとった。








 これは…………………………………!!!!!






 僕はこれを持って、幹部の集まる部屋へと走った。




〜end〜




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