新選組〜猫みたいな君が好き〜
最初は憎かった。
でも今は、大好きなんだよ。
感謝もしてる。
だから、残り少ないこの命を、みんなの為に使い切りたい。
最近、そう思うようになってきた。
咲『わかってるじゃないか美夜。』
突然、頭の中に声が響いた。
これは、美咲菜様の声だ。
そう理解したら、冷静になれた。
私は美咲菜様に、自分が感じていることについて話す。
(私、もうすぐ死にますよね。)
咲『ああ。』
(原因は………)
咲『力の使いすぎだ。』
(やっぱり…………でも何故ですか?私純血の猫又なのに。)
咲『あの半猫又半人間の姿は、お前が思っている以上に代償が大きい。』
半猫又半人間、人間の姿に耳や尻尾が生えた状態だ。
咲『今までの猫夜叉活動に、裏市場の一戦、猫継浩祐との激戦』
美咲菜様の言葉に、記憶が思い出される。
咲『しかも、短期間に一気に戦ったからな。仕方ない。』
咲『こればっかりは仕方ないな……………持ってあと一年半か。』
(一年半…………短いのか長いのか。よく解かんないですね。)
でも、みんなの為に生きようと、決めたんだから。
咲『きっと短い。だから…………ははっ!これは私の同情だな。』
咲『もう私はお前の前に現れることは無いだろう。猫継家の消滅と共に、私も消える。』
咲『だから、私からの贈り物だ。』
(………………美咲菜様は、人間がお嫌いなんですよね。なのに何故ですか…………?)
咲『お前を見ていたら思ったんだ。いい人間もいるのだな。』
わかってもらえたのかな。
咲『贈り物についてだが、一つは耳。二つは、お前が人間の事を助けたいと願うのなら使うといい。』
(はい。二つめって……………?)
咲『人間の傷を治す力。…………ただ覚えておけ。その力の代償は寿命だけではない。』
人間の傷を治せる、これで、皆を守れる。
どんな代償があったっていい。
みんなの為に生きるって決めたんだから。
(美咲菜様、ありがとうございました。)
美咲菜様はいつも見ていたんだろう。
もしかして、過去に人間絡みで何かあったのかな。
気が付くと、美咲菜様の声はもう聞こえなくなっていた。
そろそろ起きなきゃだ。
試しに声を出してみる。
美「ーー………ぁ………あー……おはよう。」
良かった。ちゃんと出た。
耳をすませば、小鳥のさえずり、木々の揺れる音、風の音、全てが耳に入って来る。
急に世界が鮮明に感じた。
これで、皆の声がきけるよ。
でもだったら、昨日書いた手紙の意味なくない?
喋れないから書いた訳だし…………
口でちゃんと説明しよう。
そう思い文机に目をやると………………
?!?!?!
手紙が……………無いっ!?
私は寝間着のまま急いで立ち上がり、部屋を飛び出し広間へ走った。