新選組〜猫みたいな君が好き〜
 う…………ん


 目が覚めると、茶色い天井。


 ここ、どこ。


 私何してたっけ。


 浪士を殺そうとして、


 切られちゃって。


 途中で入って来た奴ら……………新選組。



 背中には包帯が巻いてあった。


 助けてくれた?


 ギシッ


 前言撤回。


 体にグルングルンに巻かれた縄。


 あいつ等、私を殺す気だ。




 襖が開く。



?「あ、起きました?」



 飄々とした態度で話しかけてくる。




 かなりの美形。



 私が黙って様子を伺っていると、その男は言う。



?「自分の立場、理解してます?猫夜叉さん。」




 私が猫夜叉だとバレている。



 あ、それもそうか。だって、猫の面をつけているから。



 良かった。外されてはいない。




 って言うことは、こいつ、私が女だと気付いてない?




?「今、アナタが何者かについて。話し合っているのですよ?」



 
 しゃべると厄介だ。ここがどこだか知りたいし、こいつの名前も知りたい。




 だから私はだまる。




?「総司。そいつをあの部屋へ連れて行け。」



?「ええー。土方さん、人使い荒いんですよね。」



 廊下から歩いてきた、«土方さん»という人は«総司»という人を促してそそくさと行ってしまった。



 «総司»というひとは私を無理やり立たせると



 行くよ、という視線ですぐ背中を向けてしまう。



 私は、あの部屋について歩きながら考える。



 総司・………沖田総司。土方…………土方歳三。



 やっぱりここは新選組の屯所だ。




 とすると、あの部屋というのは、おそらく拷問部屋。



 人斬り沖田と、鬼の副長は京の街でも有名だ。





 私はまだ、死ぬわけには行かない。



 ここを出る方法は?



 最悪なことに刀は無い。取られたんだ。




 そしたら、下手なことはしない方が言いのか?



 一度素直になっておいて、隙を見せたら逃げる。




 こうしよう。それが一番安全だ。






< 5 / 118 >

この作品をシェア

pagetop