新選組〜猫みたいな君が好き〜



 あれから何ヶ月か経ち。


 私は一番隊隊長補佐兼女中という役職についた。



 相変わらず総司と相部屋で。


 最近感じ初めていた事。


 それは、『楽しい』ということ。


 まだ私は、正体を明かしていない。


 なのに、彼等は此処に私を置いてくれる。


 私を必要としてくれている。


 その事が何よりも嬉しかったんだ。


 人間を信用し始めている。


 それは、私にとって大きな変化だ。


 思ったんだ。こいつ等は、私の思ってた人間とは違う。


 心の暖かい人達。


 こいつ等には正体を明かしてもいい。


 何度そう思った事だろう。


 でも、拒絶されるのが怖くて、離れていくのが怖くて、結局一歩踏み出せない。


 いつからこんなにも弱くなったんだろうか。


 こいつらの優しさに触れたからだろうか。


 今の私に、答えをくれる人なんていない。


 このしあわせが永遠に続けばいいのに。


 しかし、私の願いは無惨にも散ることを私はまだ知らなかった。





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