新選組〜猫みたいな君が好き〜
 土方さん?が私の面に手を伸ばす。


グイッ


土「ん?」


 その人は何回も面を引っ張るけれど、動く気配は無い。



総「君、その面とってみてよ。」



 肩に刺さったままの刀がグリグリと動かされる。


 っ…………



 これは誰にも外せない。



 この面を外せるのは妖力を持つものだけ。



 私は自分で取り外しできるけれど、ただの人間には出来ない。



 私は動かず、喋らず。



 沖田総司の刀が次々と私の体に切りギズを残していく。




 どこか、どこかに隙は出来ないの?




総「土方さんどーします?こいつ、何もしゃべりませんよ?」



土「はぁ。明日に回す。もうすぐ平助達が巡察から帰って来る。」




 平助?その名前、ドコかで…………



?「土方さん。たっだいまぁー!」


?「今日も異常なしだぜ。」


?「誰の拷問してんだ?」



 部屋に入って来た三人の男。



 あれ?この声は…………



美「藤堂……………はん?」




 ハッ!!!!



 まずい。


 思わず名前を呼んでしまった。



籐「え?なんで俺の名前って、お前猫夜叉!?」



原「おい、総司、刀抜けよ。」



永「土方さんも、何手ぇ上げてんだよ。」




 来たのは浅葱色の羽織を着た島原の顔見知り、三人。




総「だって、こいつ、何も、喋らないから。」



籐「そうじゃなくて!!こいつ女!!猫夜叉は女なの!」





土・総「…………ハア?!!!」




 なんとも間抜けな声をだす二人。



 沖田は慌てて刀を抜く。



原「お前ら知らなかったのか?」



土「証拠はどこにあるんだよ」



原「脱がして見るか?」



 ハア?!!!



 そう言って私の服に手を伸ばす。




 冗談かと思って何も動かなかったけど、原田殿は平気で帯を解く。



シュルッ



 服がはだけそうになる次の瞬間、私は、つい…………




美「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」




 思い切り叫んでしまった。



 その場にいた全員が思わず耳を塞ぐ。





 逃げるなら今しかない。



 っていうか、これ以上ここにいたら、私が死んでしまう。



 袖の裏から小さい刃物を出し、縄を千切る。




 体が自由になり、五人の間を縫って部屋から走りだした。




 
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