新選組〜猫みたいな君が好き〜



東「愚かな………まんまと引っかかりやがって………」


桜「うっ………」


美「桜!」



 東御は桜の首を締め上げる。



 床に足はついていなくて、涙目になっている。



 東御は刀を鞘から抜き、桜の首筋をなぞる。



 垂れた紅い鮮血は桜の襟に染みこんでいく。


 
 
千「東御!!!!お前を…………殺してやる!」



 千夏は殺気を強め、姿を変えた。



 がしゃ髑髏だ。



 千夏は床に手をゆっくりと入れる。


 本来入るはずないのだが、力を発揮すると、黒く波紋のように広がる穴。



 すると、東御の真後ろに、同じように波紋が広がる。


            ・
 そこから出てきた骸骨の手。



 それは東御の身長を遥かに越える大きさ。



 骸骨の手は東御をつかもうとする。



東「海崎の血は惜しいなぁ。まぁ、抵抗するならしょうがない………」




 東御は片手を徐ろに上げ、スッと下へ下ろした。



千「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」



 桜…………………?



 骸骨の手は、斬られていた。



 桜の持つ、氷の刀で。



 なんで………桜が………?




 斬られた傷口から凍傷になっていく。



 千夏は苦痛に顔を歪めながら桜を見やる。



 すると、桜は涙を流した。



桜「ごめんっ………ごめん千夏………」



 涙を流しながら千夏に謝るが、刀は私達に向けたまま。



 桜は刀を振り回しながら突進してくる。



 まずい、逃げなきゃっ………!!!!



 楓也と桐生は逃げ出す。




 私も千夏とこの場を離れようとしたけど…………



千「美夜っち逃げてぇ………ウチ、無理や。」





美「何言ってんの?!」



 千夏の腕はもう凍傷になっていて、動かすことが出来ない。



 千夏の肌が氷に包まれ始め、もう肩まで凍っている。



 私は強く千夏の腕を引っ張る。



 すると、千夏は私を突き飛ばした。



千「早う逃げろ言ってるやん!!」



 私は尻餅をつき、千夏と大きく離れてしまう。



 涙目になりながら私を怒鳴る千夏。




 手遅れだった。



< 79 / 118 >

この作品をシェア

pagetop