新選組〜猫みたいな君が好き〜
千夏の心臓には既に、氷の刀が突き刺さっていた。
美「ち……………な…………つ……………」
光の宿ら無い瞳で私を見ながら床に倒れた。
私は急いで千夏に駆け寄る。
美「千夏っ…………!千夏っ…………!」
もう息はしていなかった。
救え無かった。
私が!
私が、弱いから………………!
楓「危ないっ!!!!!!!!」
ガキンッ
上を見ると、私に向けて振りおろされた桜の刀を、楓也が受け止めていた。
楓「この刀は俺の妖気を具現化したものだから、長くは持たない。此処は俺が引き受ける。千夏を連れて此処から、離れろ!」
楓也の言葉に背中を押され、千夏を抱きかかえて走る。
桐「こっちだ!美夜!」
桐生に呼ばれ、付いて行く。
額には、普通の目と変わらない大きさの目玉がある。
桐「人が居ない処は………」
そう呟いた桐生の目玉が一瞬ぎょろりと動く。
多分、力を発揮しているのだろう。
桐「コッチだ。」
入った部屋の畳みに千夏を寝かせる。
既に息絶えた千夏は眠るように目を閉じている。
美「桜……………なんで…………」
わたしは千夏の亡骸を眺めながら言う。
桐「多分、操られてた。」
美「操られてた?」
桐生は頷く。
桐「東御は陰陽師だ。恐らく、桜を斬ったとき、毒かなんかが体に回ったんだろう。」
美「だから桜は泣いてたの?」
千夏を殺しながら、謝っていた。
ごめんね、ごめんねって。
桐「だから、東御の刀に触れたら終わりだ。俺達もああなる。」
恐ろしかった。
術を使って、命を操るなんて………
しかも、東御には私達の計画がバレていた。
罠にはめられてしまったあげく、千夏を失い、桜は操つられている。
どうすればいいの!?
桐「なっ……………!!!!」
桐生は頭を押さえ驚いた声をあげる。
美「どうしたの?」
桐「楓也が………………殺られた………………………」
美「えっ…………」
ただただ呆然とするしかなかった。
頭が真っ白になって、なにも考えられなくなる。
楓也が…………殺された。
桐「クソっ………桜………」
桐生は床を殴る。
その気持ちは………私もだよ。
桜を助けなきゃ。
今一番辛いのは桜だよ。
仲間を二人も殺してしまって。
わたしは立ち上がった。
美「桐生。千夏の事お願い。桜のとこ行ってくる。」
桐「だったら俺も行く!!」
美「ごめんね桐生。千夏を、守ってて。いつここに敵が来るか、わからないから。」
桐「…………わかったよ。でもな、ぜってー死ぬなよ。」
ありがとう、ありがとう桐生。
心配そうに見る桐生に私は笑った。
美「当たり前!私を誰だと思ってんの?」
私は、桜のところへ向かった。