新選組〜猫みたいな君が好き〜



 東御も、同じ体験をしたんだろうか。



 何の罪で?


 
 猫又の力を奪われる程の事をこいつは、したの?





美「お前は…………何の罪を犯したんだ?」




 

東「俺は……禁忌を犯したんだ。」



 だから何のって、言いかけた時気付いた。


 こいつは、それ程言いたくないんだと。


 

 でも私の考えは変わらない。



東「お前に、使った術は………『記憶戻し』だ。」



 だから、あの日が蘇ったんだ。



 だから、人間が怖くなったんだ。




美「それを使って何をするつもりだった?」



 東御は地面をずっと睨み続けていたが、私を見据える。



東「お前の力が必要なんだ。俺に…………ついてこないか。」



 は?



 何いってんだかこの人は。



美「お前が本当に私の実の兄でも、ついては行か無い。」



 東御は一瞬悲しそうな顔をした。



東「残念だよ美夜。お前を殺したくはなかったが………仕方がない。」



 コイツっ!無理やりでも私を連れて行く気なの?



美「まさか私に勝てると思ってる?」



東「百目の小僧は私が直に殺してあげたよ。」



 桐生を、殺した…………?



 こんな命を弄ぶような人に、尚更付いて行く気は無いね!



 まず、こいつを殺す事が先だ。



 桐生の言っていた言葉を想い出す。



 『刀に触れたら終わりだ。』



 うん。



 刀に触れない様に、殺す。



 
美「お前のそのひん曲がった人生、私が終わらせてあげる。」



東「やってみろ。」




 両者構え、睨み合いが続く。



 あんまり隙きがないな。



 

 そして私が東御に斬りかかる。



 難なく受け止められ、一進一退の状態が続く。



 
 長引くと体力持久戦となり、私が確実に不利。



 私は覚悟を決めて、あの姿に変化した。



 瞳の色、容姿が変わる。



 



 やっぱり、この姿の方が楽だ。



 再度刀に力を込める。



 徐々に東御が私に押され気味になり、壁まで追い詰めた。




 東御は涼しい顔をしている。



 何故だ?


 自分の危機感を感じてい無いのか?




 
 でも、今が最大の決め所だ。



 私は、大きく振りかぶった。



 
グサッ




 刺さったのは私の刀……………では無かった。




 私の腹に貫通する、東御の短刀だった。



 激しい痛みに腹を押さえ、血を吐いて倒れてしまう。




 油断した……………っ





 でも、これはただの短刀だった。



 妖刀でもなく、術もかかっていない。



 どこかに隠し持っていたのだろう。



 咄嗟にだしたのか。



 だっだらすぐ治る。



 傷を癒そうと、お腹に力を集める。



 あれ………………?




 治りが、遅い?




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