新選組〜猫みたいな君が好き〜


 巡察を初めて何刻か立った頃。



 俺達は街の入り組んだ通路に入っていった。



 この前も此処は探した。



 
 一向に手掛かりの無いまま探すのも、大変だ。



キンッキンッ




 剣戟の音か?



 竹刀や木刀の音じゃない。真剣の音だ。



 誰かと誰かが戦っている。




 俺達は音の方へ向かう。




 すると、塀の高い建物にぶち当たった。




 その塀を伝う。




 え?



 入り口がない……………?




 こうなったらますます怪しい。



 音もこの中からだ。




 どっかに隠し扉とか…………




総「さーのーさーん」


佐「総司?」




総「なんだ。佐之さんも来たんだ。」



佐「来ちゃワリィかよ。」




 総司達一番隊も、ここに来ていた。




総「見た?ここの塀。」




 総司は塀をコンコンと、叩く。




佐「ああ。」



総「どうやって入ろうか……」




 人の何倍もの大きさの塀を、超えられるわけないからな。





 すると、隠し扉か、抜け穴ぐらいしか思いつかない…………。




チャリン




総「おっと。」



 総司の懐から、鈴が落ちそうになる。



佐「それ、美夜の鈴か?」



総「うん。持ってたら、僕達の前に現れるんじゃないかなって。」



 懐へ大事そうに鈴を仕舞うと、塀を見やった。




 俺はふと、塀に背中を預ける。




グラ


 え?




 何故か体が傾く。



 なんと、塀がいきなり隠し扉のように動いた。



 俺は必然的に尻餅をついた訳だが………






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