新選組〜猫みたいな君が好き〜
すると、土方が墨が付いた筆と半紙を持ってきてくれた。
土方は何も言わなかった。
書け、って言われてる感じがする。
私は、震える手で受け取り、文字を書き始めた。
『耳が聴こえない』
その文字を見せると、皆目を見開いた。
続けざま文字を書く。
『私の事を、どう思ってる?』
あの姿を見て、どう思ったの?
私をここに運んだのは…………
『同情した?それとも、気持ち悪い?わたしが。』
違う、違うでしょ。
こんな事、言いたいんじゃない。
ただ、皆から信用してもらえなくなるんじゃないかって。
どうしても、思ってしまうんだ。
すると、総司が乱暴に筆と半紙を私から取った。
総『心配したんだよ、ずっと探し続けてやっと見つけたんだから。』
心配?
探し続けた?
私を?
ああ、溢れちゃう。
思いが、不安が、堰を切ったように溢れて来る。
きっと私は、今顔がぐちゃぐちゃだろう。
嗚咽が漏れ、情けないな、なんて思う。
もちろん自分の声は聴こえないから、解らないけれど。
美「うっ…………っう………ふぇ…………………え………っ……」
大好き。
有り難う。
私は精一杯笑った。