青空の下月夜に舞う 3
祐也が居ない教室は寂しい。

誰も近寄って来ないし。


今はそれが楽なんだけど。

一人でお弁当を食べて、午後はうとうと。


でもここで寝ちゃうと、誰も起こしてくれないだろうし、何より、放課後また一人になることが怖くて。

午後の授業は、必死に目を開けていた。



やっと一日の授業が終わり、ガタガタと皆が教室から出ていく。

そんな中で、ゆっくり立ち上がると、私も教室から出ようと、席を立ち上がった。


すると。

あれ?何か急に、静かになった……?


教室から出たばかりの女子が、その場に立ち尽くしていて。廊下に出ると、皆が目を丸くして。


何かあったのかな。

カバンを手に持ち、扉に近付くと。


「帰るぞ」


きっと、コイツのせいで、二年の廊下が静かになったんだな、と。想像できた。



「みんなは……?」

「今日は俺だけだ。……帰って寝るぞ」



長めの髪が、サラサラと揺れて。
下は制服なのに、当たり前に、上は私服。

学校で見たの久しぶりだよ。あんたちゃんと学校来てんの?


ーー響。





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