青空の下月夜に舞う 3
「ああ」
戸惑ったり。
何言ってんだって顔もせずに。
眉も動かない。
発したのはその一言だけど、確実に私に力を分けてくれた気がした。
よし。
「私、さゆりさんところに行ってくる。出来れば、誰もこっちに来ない方がいい」
もし。嫌な顔されても。
怯まない。
さゆりさんの背中が、私には寂しく見えた。
理由はそれだけだけど。
私がさゆりさんを好きなんだから、気になるのは当たり前だ。
慶太郎の事を聞くなら。
私の話も聞かれるかもしれないから。
出来ることなら二人がいい、と。
響なら頼めると思って口にした。
軽く息を小さく吐いた響は、
「そこに居るんだろ」
「うん」
「じゃあ、いい。無理すんな」
「ん」
ポン、と。頭に届いた温もり。