青空の下月夜に舞う 3
「慶太郎と付き合えた時、めちゃくちゃ嬉しかったよ。私の全部をやっても構わないって思ったよ。中学のガキがさ。バカみたいだけど」
ははっと漏れた渇いた笑い声。
「ババアの事言えないよな、私も」
言っているのはきっとさゆりさんのお母さんの事だろう。
そんな事ない、と言いたいけど……
口を挟むのは違う気がして。
「慶太郎の家族の話は聞いてた。それから余計にコイツとずっと居るって思ったし。弱いところも好きでさ」
うん。さゆりさんってそんな感じだ。
昔から変わらないんだろうな。
「いきなりだったんだ。別れを言われたのは」
声色も。雰囲気も変わって。
下がっていた目尻は眉までも悲しく下がる。
「嫌だって言ったんだよ。意味わかんないだろ?ずっと仲良かったし、そりゃあ喧嘩もあったけど……すぐに仲直り出来るものだったんだよ」