青空の下月夜に舞う 3
「相当泣いたよ。この私が、だぞ?」
冗談っぽく話すけど、きっと悲しみはかなりだったんだと思う。
さゆりさんが泣きじゃくる姿なんて、想像できない。
「何か理由があるんだって。調べまくってたら、ウザイとか言われるし。ぶん殴っても“もう他の女居るから迷惑”とか言われるし」
内容は悲しくても、口角は上がっている。
見つめる先は、やはり用具置き場。
「ボロボロでさ。私。今想うとバカ以外の言葉が見つからねえぐらいだよ。そんな時さ……」
少しの間。
さゆりさんの顔を見ていた私も、釣られて用具置き場を見た。
「響が……“目に見えるものだけを信じるな”って」
違うクラスだったのに、わざわざ教室に来やがって。と……迷惑そうな言い方をする中に、僅かな言葉の温もり。