青空の下月夜に舞う 3
「あの時は“俺しか”居なかったもん、な?」
イヤだ……
目の前には雄大。
隣には祐也。
少し離れた所は体育祭で盛り上がる軽快な音楽と、みんなの歓声。
なのになんで……
雄大とまるで世界で二人だけの様な錯覚に陥りそうになる。
「あの頃が一番良かったよな。俺の名前を可愛く呼ぶ麻衣が今でも忘れられないよ」
優しく話している様だけど、私の頭の中は、灰色で埋め尽くされている。
雄大が全身で好きだった日々は。もう戻ることが出来ないのが分かっているのに。
優しさの裏には“何が”あるのか。
無言で、雄大に圧力をかけられている。
きっとそれを理解しているのは私達だけ。