【6】シンボルツリー
休憩所の中は、思っていた通りクーラーがよく効いていた。
それなりに人が見受けられる。朝だというのに、この厳しい暑さである。人々は此処に避難していたようだった。
長テーブルにパイプ椅子の羅列。建物の外観の割に、高々そんな程度の空間であったが、隣の湯沸かし室から用意されたお茶が、有難い事に、飲み放題となっていた。
私はお茶を貰い、一つのテーブルに着いた。紙袋の隙間からコロッケが、面白そうに此方を覗いている。
──食うか。
手を伸ばし、コロッケを一口食べる。
冷めてはいたが、まだほんのり温かみが残っていた。一口目のコロッケは、カリッとした外側に、中は絶妙な塩加減だった。
……しかし、飲み込めなかった。うまく、飲み込めないのだ。
よく噛んで何度も飲み込もうとするが、喉元にて止まる。
いつまでもそうしている訳にもいかず、仕方なくお茶の力を借りて、流し込んだ。
「アンタ……、どっか悪いんかい?」
斜め前にいた白髪のお婆さんが、私の様子を見ていたらしい。
「苦しそうじゃの」
よく日に焼けた、しわくちゃな顔だった。小さく縮こまったように椅子に座り、テーブルが顎の真下にあった。
「すみません。ちょっと喉が腫れてまして」
「そうですかい。食べられんのかいな」
「何か食べなくてはいけないと、医者には言われているのですが、なかなか難しくて」
「それはそれは、辛そうやの」
それなりに人が見受けられる。朝だというのに、この厳しい暑さである。人々は此処に避難していたようだった。
長テーブルにパイプ椅子の羅列。建物の外観の割に、高々そんな程度の空間であったが、隣の湯沸かし室から用意されたお茶が、有難い事に、飲み放題となっていた。
私はお茶を貰い、一つのテーブルに着いた。紙袋の隙間からコロッケが、面白そうに此方を覗いている。
──食うか。
手を伸ばし、コロッケを一口食べる。
冷めてはいたが、まだほんのり温かみが残っていた。一口目のコロッケは、カリッとした外側に、中は絶妙な塩加減だった。
……しかし、飲み込めなかった。うまく、飲み込めないのだ。
よく噛んで何度も飲み込もうとするが、喉元にて止まる。
いつまでもそうしている訳にもいかず、仕方なくお茶の力を借りて、流し込んだ。
「アンタ……、どっか悪いんかい?」
斜め前にいた白髪のお婆さんが、私の様子を見ていたらしい。
「苦しそうじゃの」
よく日に焼けた、しわくちゃな顔だった。小さく縮こまったように椅子に座り、テーブルが顎の真下にあった。
「すみません。ちょっと喉が腫れてまして」
「そうですかい。食べられんのかいな」
「何か食べなくてはいけないと、医者には言われているのですが、なかなか難しくて」
「それはそれは、辛そうやの」