眠れる森の醜女
朝から自分から話そうとしないサラ姫の

対面に座り、決して居心地のいいとはいえない

馬車の中からチラチラと窓の外を見ているサラ姫をエルダーは見ていた

「で?何を知りたいって?」

「…」

「今日は郊外に行ってから城下を散策しようと思ってるけど、それでいい?」

「…貴方は、わたくしといて恥ずかしくないのですか?」

「は?」

「わたくしと一緒に外に出て、好奇の目で見られますわ」

ガタンと大きく馬車が傾く

とっさに手を伸ばし椅子から落ちないようにサラ姫の身体を支える

大きな石にでも車輪がハマったのだろう

すぐに平行になり、支えている腕を離す

「あのさ…何度も言ってるけど
あんたの何処が変だというのか」

目深に被る帽子のつばを上げる

「あっ、ちょっと」

帽子を下げようとするサラ姫の手を掴む

「この赤いウェーブかかった髪もつぶらな黒い瞳もそばかすも小さな口も何も恥ずかしいこてなんてない。寧ろ透き通るような白い肌が綺麗すぎるくらいだ!」

真っ直ぐな瞳でサラ姫の黒い瞳をとらえる

嘘のないクリアな瞳で見つめられ

隠すことの出来ない状況で一気に顔が赤くなるサラ姫


赤さがうつったように急に恥ずかしくなったエルダーはサラ姫の手を離す

赤い顔をした後、目からは涙が溢れていた

何故、今のタイミングで泣くのか

エルダーが戸惑っているとサラ姫が涙を拭いながら話し始める

「わたくしの両親、姉たちはみんな金色の髪にグリーンの瞳でしたの。ガンダー王家でこの様な容姿のものはなく、王家以外でもこの色を持つ国民はいませんでした」

文献には王家の容姿のことまで詳しく書いているものは少ない

歴史マニアのエルダーも知らない話しに

サラ姫の異常な顔へのこだわりの理由がわかった
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