眠れる森の醜女
「楽しかったのですね、サラ姫さま」

「そうね、楽しかったわ」

夜になり、部屋着に着替えてシーラと話すサラ姫はエルダーに言われた通り素顔を晒していた

髪を櫛で梳かし、シーラはサラ姫の赤い髪を褒める

「姫さまの髪は綺麗ですね、ツヤがあって弾力も髪の量もなんて結い安いのか」

「わたくしは、シーラの金の髪が羨ましいわ」

「ねぇ、シーラ。今日わたくしはエルダー王子の妃と呼ばれることが恥ずかしかったの。王子は人々に慕われていたわ、なのに連れている女が醜かったら王子がなんて言われるか分からないじゃない。王子にはもっと相応しい女がいるんじゃないかって、でもそう考えると胸が苦しいの、わたくしを見て真っ直ぐ笑うあの顔が頭から離れないの」

「サラ姫さま、それは恋ですわ」

「恋?」

「その人を想い身を引こうとしても、心は正直に一緒にいたいということは悪いことではありません」

「わ、わたくしなんかが人を好きになったとしても迷惑でしかないですわ」

「サラ姫さま、迷惑か迷惑でないかを決めるのはエルダー王子にしか出来ないことです。サラ姫さまはもっと自信を持って下さい」

「自信…その言葉、今日エルダー王子にも言われましたわ」

シーラとの会話後、すぐにサラ姫は眠りについた。昨夜眠れなかったせいだろう

ぐっすりと朝まで目を覚まさなかった
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