眠れる森の醜女
婚約はあっと言う間に進み

姫は相手の顔を見ることも

会うこともなく

時が過ぎ

結婚式当日を迎えた

純白の花嫁衣装に身を包み

目深に顔を隠すようにして被るベール

広間に出て

旦那さまとなる男の前に出た瞬間

結婚式に参加しているものたちが

道を姫が進むにつれて

醜い顔と囁いているのが

姫の元へと聞こえていても

姫は歩き続けた、旦那となる男の元へ

「噂に違わぬ醜い女!
あんたが花嫁なんて!
あの人はあたしのものよ!」

嘲笑うような高い声で

式に乱入した女が

姫を指差し悪態をつく

「王族との婚姻を断るわけないじゃない!
なんであんたが姫なのよ!呪われろ!
呪われろー!」

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