眠れる森の醜女
「よし!さぁ行こう!」

姫は顔を隠すことに必死だった

ただ身体は思うように動かず

男を横抱きにされるがまま

馬に乗せられ

姫に付き添うことが一族としての

使命であるシーラは

男に続いて馬で後を追っていた

「姫を勝手に連れ出し
どこに行こうというのですか!」

怒った口調のシーラに対し

しらっと「そこ!」

という男の目の前にあるのは

この国の城である

城門を開けるように指示する男に

兵士たちは礼を取り

王子と呼ぶ

「これはわたしの連れだ、そのうしろの馬も」

シーラは目を丸くさせ

姫はやはり顔を隠すことに必死であった
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