初恋名簿
第1章

佐々木由夢

「佐々木ちゃんー!ゆ・・・ちゃんー」


ガヤガヤしている教室。誰かが私の名前を呼んだ。

「どうしたの?」
「え?佐々木さんこそどうしたの?」
「え?だって今・・・」
「えっと、あ!由亜ちゃんなんだけど・・・」
「あ、ごめん。」
「こっちこそごめんね~」


私は自分の名前が嫌いだ。

佐々木由夢。

小さい頃は皆とちょっと違った珍しい名前が大好きだった。
でも、高校生になってから、この名前が嫌いになってしまった。

佐々木由亜がいるせいで。

私と一文字違いの名前の佐々木由亜は、クラスの人気者。
校内1の美少女とか騒がれていて、文化祭の美少女、美男子コンテストでグランプリをとった。
勉強も運動もできて美少女。まるで漫画の主人公のような、
まぁ、私とは世界が違う人。






「由夢?」
「はいっ」
「なぁにしてんだよっ」
ポンと頭に乗せられたら大きい手。安心する・・・
てか、いい匂い・・・


「・・・やめろ変態」
「はっ!」
「アホ」

私のことをアホ呼ばわりする大きい手の持ち主は、翔太。幼なじみだ。



「変態じゃないし・・・」


つぶやいた時、花の匂いが近づいてきた。
「翔太くん、プリントまだかな?」
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