君までの距離
ドアを開けて外に出るとそこは山の中腹にあるコンビニだった。
声がした方を見ると、尾上さんがミニバンがバックするのを『オーライ、オーライ』と先導していた。
白線の内側に止まったバンからは、ばらばらと人が出てきた。
カメラやその他、見たことのない機材を抱えた人が慌ただしく動きはじめる。
その中、尾上さんは綺麗な女性と話しはじめた。
「おはようございます。晴れてよかったわ。こうみえても私、晴れ女なんですよ」
「湯山さんに逆らえるものなんてありませんよ。みんなそんな恐ろしいことはしませんからね」
「言ったなー。よーし経費を上乗せして請求するからね」
あははっと笑いがおきる。明るい人だなー。見ていたら尾上さんと視線があい、手招きされる。