君までの距離
「…なんでここに?」
「ここ危ないかと思ったから。予想を裏切らない行動だったね」
つかんでいた腕を離されると、感じていた体温がなくなり肌がひやりとした。
それを寂しいと思いながら、今はそれどころじゃないとわかっていた。
「はっ!早く行かないと!!」
素っ頓狂に声を張り上げたアタシに、高遠さんは目を丸くする。
「え、助けてあげてそれ」
「撮影に遅れるっ…アタシのせいで遅れるなんて…」
アタシのせいで高遠さんを待たせているのなら…撮影隊の皆に迷惑がかかるなら、どうお詫びしたらいいんだろう。
撮影される側である高遠さんが呑気にしてていい訳ないよ……!