君までの距離

架け渡して歩いて行ってもらう足場の設置が上手くいっていないようで、皆が難しい顔をしていた。



「カメラの足場は設置したんですがね…」



落差のある小さな滝の上に高遠さんが立つらしく、カメラをその方向に向けて調整している。



「俺はあの流れから出てる岩に立てばいいんですね」



話を聞きながら、スタイリストさんから受け取った衣装を着ていた高遠さんが答える。

ためらうことなく服を脱ぎ、筋肉のついた上半身をさらす。舞台で鍛えているだけあって、きれいに筋肉がついている。

芸能人だからだろうか、物おじしたり、人がいるからと恥ずかしがったりしないで、いっそ潔いくらいだった。



ぼんやり見惚れていると、視線を感じて目を向けた先に尾上さんがいた。なんだか恥ずかしくなって高遠さんからも、尾上さんからも視線をそらす。

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