君までの距離
「行って参ります」
ふざけて敬礼をした高遠さんが、川に向かっていく。アタシもつられるように、後ろ姿を追いかけてしまう。
まわりのスタッフもあちこちに固まりながら、高遠さんの姿を見つめていた。
川辺で靴を脱ぎ出した高遠さんに追いつくと、我慢できなくて声をかけた。
「…き 気をつけて」
「うん。大丈夫だよ」
屈み込んだ腕の隙間からいたずらっぽい瞳がのぞく。
「俺はね、これでも野生児だったんだから。川遊びなんてよくやったし。だから大丈夫なんだって。そこで見てて」