君までの距離
「カメラテストも兼てスチールを撮影します。高遠くんは自由にポーズをとってちょうだい」
湯山さんが声をあげると、高遠さんの顔から悪戯っぽい光が消え、もっと自然な状態になる。
シャッターが切られるたびに、ポーズを変えていく。その仕草にカメラマンが声をかけてシャッターを切っていく。
スチールと言いながら、撮られる枚数はかなりなものだろう。
岩の上で、立ったり座ったりを繰り返して30分ほどで湯山さんからOKが出る。
すると足場の上のカメラが入れ替わり、すぐにCMの撮影に入った。こちらは撮影案があり、それに沿って撮影を進めていく。
高遠さん自身だけでなく商品の撮影や、お茶を手にした腕も撮影対象となる。
一通りの撮影を済ませてから、湯山さんが難しい顔をした。