君までの距離

岩に座った高遠さんが、川の流れからお茶のペットボトルを取り出す。

『美味しいお茶は、美味しい水から』

商品のキャッチコピーを言ってから、ペットボトルの封を切り、口を付ける。
お茶を流し込む喉が、後ろにそらされていて、どきんとするほど色気があった。
お茶を飲んだ後、商品を顔の横に並べて、にっこりと笑顔を作る。

笑顔を見ただけで、アタシの心臓はドキドキと早くなり、顔がかあっと熱くなる。

どうしよう…

アタシ、ほんとに好きみたい…


高遠さんのこの笑顔はCMのため、お仕事だってわかってるのに。まるで自分だけに向けられた笑顔みたいに体も心も反応してる。



「はい、カットーーー」

監督の声が響くと、はっと我にかえる。

< 123 / 250 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop