君までの距離
岩に座った高遠さんが、川の流れからお茶のペットボトルを取り出す。
『美味しいお茶は、美味しい水から』
商品のキャッチコピーを言ってから、ペットボトルの封を切り、口を付ける。
お茶を流し込む喉が、後ろにそらされていて、どきんとするほど色気があった。
お茶を飲んだ後、商品を顔の横に並べて、にっこりと笑顔を作る。
笑顔を見ただけで、アタシの心臓はドキドキと早くなり、顔がかあっと熱くなる。
どうしよう…
アタシ、ほんとに好きみたい…
高遠さんのこの笑顔はCMのため、お仕事だってわかってるのに。まるで自分だけに向けられた笑顔みたいに体も心も反応してる。
「はい、カットーーー」
監督の声が響くと、はっと我にかえる。