君までの距離
「いいわね。高遠くん他にアイデアはあるかしら」
にっこりと湯山さんの口角があがる。監督も好感触だったらしく、頷いている。
「出来はわかりませんが、お時間をいただけるなら、やってみたいです」
高遠さんも、にっこりと笑顔をつくる。
「スポンサー様は、お時間よろしいでしょうか」
急に話を振られた尾上さんも、
「より良いものが出来るなら、かまいません。あとで会社の上層部と掛け合ってみます」と頷いた。
高遠さんが動いたことで、会社の上層部まで動かしてしまうなんてすごい。
ただ普通のタレントではない、舞台俳優としての幅の広さを感じた。
そこから高遠さんのアイデアによるふたつのCM撮影を終えた。