君までの距離



「本日はお世話になりました」


マネージャーが挨拶をしている脇で、高遠さんは足を拭い靴下をはいていた。


「今回は当社で提案させて頂いたほかに、高遠さんの案もCM編集に回してよろしいでしょうか」

湯山さんが、尾上さんの確認を取る。

「大変興味深いCMでした。放送されるのを楽しみにしています」



和やかな談笑の脇で、高遠さんの側を通るスタッフが何かしら声をかけていく。

「また一緒に仕事しましょーねー」


「オンエア楽しみッス」


掛けられる言葉に、短い返事を返したり、手を振ったりと高遠さんはせわしない。
撮影した後の安堵してゆるく笑った顔が、なによりもCMの出来を表しているようで、きっとこのお茶はヒットするという予感がする。

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