君までの距離

「……何か…悩んでいるの……」


隣に座りながら、さっきのことをどう処理していいか考えていた。


「うん…今はまだ考えがまとまらない。でも遥香、聞いてね」


きっとアタシは縋り付くような目をしていたと思う。ここが会社でなかったら…今が就業時間でなかったらアタシは遥香に縋り付いていた。

そんなアタシに、にっこりと遥香が微笑む。


「……ええ。いつでも……」

ただ遥香は笑ってくれただけなのに、アタシは誰よりも強い味方を持てたことがわかった。
そして、少しだけ楽に息が出来るようになっていた。

「よーしっ!アタシ、頑張ってくるね」


少し冷めた紅茶をくいっと飲み干すと、紙コップをダストボックスに落とした。

「遥香、ごちそうさま。また後でね」

< 146 / 250 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop