君までの距離

思いきって引き戸を開けると、店には店長しかいなくて、ほっとした。



「未也ちゃん、いらっしゃい。よく来たね」

笑顔で迎えてくれる店長に、安心しておずおずと店に入る。

「貸し切りみたいですけど、少しだけ話を聞いてもいいですか」


厨房のまな板の上には、何も乗っておらず、まだ忙しい時間帯ではなかったのかと胸を撫で下ろす。


「かまわないよ。裕也のことだろう」


まっすぐな包丁使いのように、すっと核心に切り込んでくる。


「やっぱり知っていたんですね。写真週刊誌の写真がここのお店で撮られたみたいだから……」

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