君までの距離
出て行く高遠さんを見送ると、とんとんと足音がして人が降りてきた。
「すまないね勝次さん。一杯貰えるかい」
見覚えのある人だった。高遠さんの劇団の人と…マネージャーさん。
「どうぞ。そろそろかと用意しときました」
すっとカウンターに器が並べられる。
「悪いね、裕也も俺も世話をかけて」
「そんなことありません。いつも贔屓にしてもらってますから」
店長さんは劇団の人に馴染んだ雰囲気でお酒を勧めていた。
「ところで勝次さん、この可愛らしいお嬢さんを紹介してくれないのかい」