君までの距離
同じ空の下で
お店を出て坂をあがっていくと公園があった。
きょろきょろと探すまでもなく、高遠さんがブランコのひとつに腰かけていた。
「隣、いいですか」
高遠さんは、ちらりとアタシを見て俯くように頷いた。
ブランコに並んで腰かけているのは、向かいあうよりも気が楽だった。
お互いを探り合うことなく、自分は自分のまま、高遠さんは高遠さんのままで話せそうな気がした。
「蓮見マネが追いかけてくるんだと思ってた」
「橘代表に言われました。アタシこそびっくりです」
キイッとブランコをこいでみる。ゆらりと体が揺れて心も揺さぶられる。