君までの距離
一度大きくこいで勢いをつけた高遠さんが、ブランコを飛び降りた。
「行こう」
振り返った高遠さんがアタシを呼んだ。
アタシも思わずブランコを飛び降りていた。
高遠さんが差し出した手に思わずつかまった。
頭の隅では、信号が点滅して危険を伝えていたのに、アタシは理性より感情に従った。
高遠さんも自分に近づいたら、危ないとあれだけ言っていたのに、手を繋いだらぎゅっと握りしめてくれた。
「俺と一緒に来て」
高遠さんがアタシを見てくれているだけで、顔がほてって熱くなってくる。アタシはただ頷いた。