君までの距離
高遠さんについて行くと、ごく普通のホテルの、ごくごく普通の部屋に連れていかれた。
高遠さんは部屋に入ると、繋いでいた手にキスをした。恋人つなぎにした手は互い違いに高遠さんの指がからんでいて、今までにない経験でアタシはドキドキしっぱなしだった。
手の甲にキスしながら、指の間を高遠さんの舌がなぞっただけで、きゅっと息が詰まるくらいの苦しさと甘さで胸が苦しくなる。
「……いいんですか」
「俺のこと好き?」
「……好きです」
「俺も好き。だから問題ないよね」
あんなにゴシップを嫌がっていたのに、本当にいいのだろうか。
「本当にいいの?」
一本一本指にキスしてから組んでいた手を離して、アタシの顔を両手で包みこむ。
「好きな子とこうしたくなるのは当たり前だし、それを写真に撮られるなら仕方ない」
顎のラインをなぞり耳たぶを触る。滑り落ちた片手は頭の後ろを支えて、顔が近くなる。
顔が近くなってもアタシは綺麗な顔だなぁ、肌も滑らかそうだなんて考えていた。