君までの距離
まじまじとアタシを見て高遠さんが笑った。
「え…なに、顔へん?」
落ち着かなくて顔を触る。
「違うよ。目を開けててキスさせてくれないから、俺もまだまだだってこと…まだ色気がないね」
抱きしめて髪にキスしたその唇が耳をやんわりと噛む。耳に息がかかるだけで体じゅうが高遠さんを感じているのに。
「今度は目を閉じて」
耳元で囁かれた声に鳥肌が立つ。一度離れた高遠さんがふわっと笑ったので、アタシも笑って目を閉じた。