君までの距離
先に帰った遥香のマンションにデパ地下の美味しいケーキとお酒を持って訪れた。
インターフォンを押すと、遥香がロックを外してくれたので、エレベーターで登り、また玄関でインターフォンを押す。
遥香のマンションはセキュリティもいい。なんせ美人なうえナイスバディときたものだから、両親が心配して安全性の高いこのマンションに決めたのだそうだ。
カチリと鍵を開ける音がして、微笑んだ遥香が出迎えてくれる。
アタシも、ケーキの箱を持ち上げて笑顔を作った。この店は遥香の好きな店だし、好みを知っているアタシが選んだのは遥香の好きなフルーツたっぷりのタルト。中味を察して遥香の笑顔が明るくなる。
「…嬉しい。少し摘んでから頂きましょうね…」
優しく箱を抱えて遥香がキッチンに消えると、アタシはソファーに腰を落とした。
ローテーブルには、遥香が用意してくれたツマミが置いてあり、いつでも乾杯出来そうだった。
香草を添えたチキンに、チーズを春巻で巻いて揚げたもの、ドライフルーツの盛り合わせ。女子会らしい取り合わせに笑みがこぼれる。