君までの距離
腕を取って柔らかい内側に唇を付けると、肌にちくりと痛みが走る。
笑いながらあげるその顔は、とても整っているのにいたずらっぽい色がある。
「ほらできた」
「アタシもやってみたい」
思わず縋り付いてねだると、高遠さんは赤くなって俯いた。
「そういうの反則」
「ダメ…?」
「可愛すぎる…他の男にそんなことしちゃダメだ」
「じゃあ…いいの?」
「付けたいなら、いいよ。独占欲?」
「そう。印を付けたいの」
薄明かりに浮かび上がる、引き締まった胸に唇を寄せる。この気持ちが高遠さんの心に染み込むように、心臓の上にキスをする。