君までの距離
促す遥香の顔は優しい。何度考えていても、口にするとなると重くてすぐに出てるこない。
「アタシ…高遠さんが住む世界が知りたいの」
自分の盾のようにクッションを抱えて、なんとか口を動かす。
「……そう…芸能人になるということかしら…」
「違うの芸能人になりたいとは思わない」
遥香のように綺麗なわけでもないアタシが、芸能人になるなんて無謀過ぎる。確かに美しさではなく、個性的な魅力を持った女優さんはいるけれど、確かな演技力に裏打ちされた実力があってのことだ。