君までの距離
碧い海のような空に、ビルのシルエットが浮かぶ。ぽつりぽつりと点滅する明かりで、夜景を空から切り取ったのだとわかる。
夜の街で人がうごめき、言い争いになり、事件がおきる。そこに登場するのが、人気俳優 鷹峰柊也。
あの日着ていたスーツも、海外ブランドらしく、均整のとれた体に馴染んでいる。
「やーこう見るとカッコイイよね。スーツはある程度ガタイが良くなくちゃ似合わないから。あの日は、ファンに囲まれてて、良く見えなかったけど、イケメンだよね」
ふわふわと酔いが回って気分が良くなっていた。良いお酒はオイシイ。
遥香も顔には出ないものの、早いペースでグラスを空けていく。
「ファンのモラルがなってないけど…人気があるの、わかるわ」