君までの距離





彼女が、何もかも捨ててもいいくらい俺に溺れたら良かった。

それが出来なかった自分の魅力は、まだまだだったと言える。

だから俺は今、自分に出来る仕事を完璧にこなすことだけを考えていた。




それでも

気を抜くと浮かぶのは彼女の仕草や声で、胸を締め付ける。

何度も再生を繰り返しているDVDみたいに、自分の片隅に居座っている。







『大好き』

胸に染み渡るその言葉を呼び起こして目を閉じた。

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