君までの距離
手を伸ばして腕を掴み、驚いた顔のまま抱き寄せて、腕の中に捕える。
何度も思い描いていたように、彼女が腕の中にいる。それでも間違いなくここにいるのか、抱きしめていても、煙りのように逃げてしまわないかと、抱く腕にきつく力を込める。
鼻を掠める髪の香りも、抱きしめた体も柔らかくて、あたたかくて、切ないほど苦しくなる。
こんなに求めていたのに、どうして一年も離れていられたのかわからない…
「……高遠さん」
身じろぎした彼女が自分を見上げてくる。
「やっと捕まえた」
ぷっくりした唇がほんの僅かに開くのを見て、言葉よりも早く唇を重ねた。