君までの距離
唇を割り舌を絡めても彼女は拒みはしなかった。ただぎこちなくキスを返してくる。
想いが溢れてキスを止められない。自分だけ、どうしようもない程惚れている。
「もう……どこにも行かないで」
彼女の背中に腕をまわすと、彼女が俺の背中を落ち着かせるようにトントンと叩いた。
「どこにも行きません。ここにくるために一年かかったんだから」
そう言って彼女は腕の中で笑った。その顔は今まで何度も想い描いていたもの以上に綺麗で可愛いらしかった。
一年間、ずっと見たかった顔だった。
顔をあげた時に蓮見マネが視界に入った。左手首の時計を指している。
もうタイムリミットだ。