君までの距離
「裕也は現在ドラマの撮影でスタジオに入っていますが、終り予定は深夜に近くなります。
私から勝次さんには連絡を入れておきますので、あなたはお好きな時間にお店までいらしてください」
アタシを見る目にわずかに柔らかな光が写る。
「何もかもありがとうございました」
「何かあった場合のために、私の番号を教えたいのですが、よろしいですか」
今度は蓮見さんが自分の携帯を取り出して見せる。
「私に番号を教える必要はありません。こちらからの連絡はありません」
アタシは頷いて携帯をかざした。もし連絡を寄越すようなことがあるなら、アタシと高遠さんは終りだと言っているみたいだ。