君までの距離
「あんただけはアタシの誘いを断らないと思ってた~」
「ヒマって意味で?」
うんうんと頭が上下に振られる。
「なぁんかさ~渡辺って回り見えないタイプじゃない?猪突猛進、みたいな」
「そりゃもう必死ですよ。人生かかってるんですから。ただ、今日会う人は特別なんです。アタシに未来をくれた人なんです」
高遠さんのことを考えただけで、自然と顔がほころぶのがわかった。
そんなアタシを見て、頬杖をついた花山さんが口角を上にあげる。
「うん。い~顔してる。それじゃ仕方ないから行っといで。後でみっちり聞くから」
ぱちんと音のしそうなまつげが、ひらめいた。