君までの距離
「打ってもらうなんて無理…読まないでください。恥ずかしいから」
高遠さんは、いやいやをするように首を振る。首を振るたびにアタシの髪も揺れて首筋があらわになる。
ふうっと笑いを含んだ息をつき、首筋にキスを落とした。
アタシは、なんの罰ゲームかという程心臓が早く打ち、身動きすらできない。動いたならさらに触れてしまいそうで体を固くするだけだ。
「読まないなんて無理だよ。今度は逃げられないように、どんなことでも知っておきたい。それにこれは放送される台本だよ。制作に関わるテレビ局の人の目にも触れるし、放送されれば視聴する人もいるんだ」
「それはわかってます。でも知っている人と、知らない人とじゃ違うから……」
ふいに背中からギュッと抱きしめられる。背中に引き締まった筋肉を感じて、男性の筋ばった腕がアタシを閉じ込める。