君までの距離
「訂正して。俺は『知っている人』なんかじゃない。あなたを好きで、付き合って彼氏になりたいただの男なんだよ」
見えないけれど、切ない声から高遠さんが必死に言い募っているのがわかる。
すぐに答えられずにいると、さらにギュッと腕に力がこもる。高遠さんも不安になることがある。芸能人だからって、何も変わることなんてない…
「高遠さんのことをずっと好きでした。自分に自信が持てなくて逃げ出したのはアタシのほうです。いつか…高遠さんと同じ物を見たくて、この一年頑張ってきました」
「OKだと思っていい?」
「もちろんです」
頷いて、抱きしめてくれる高遠さんの腕に、自分の手を重ねた。